チリにおける持続可能な沿岸漁業及び養殖に資する赤潮早期予測システムの構築と運用 (Monitoring of algae in Chile)
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シライシ孵化場視察

ニュース
2019.06.10

2019年5月7日ゴンサロ教授、丸山准教授、藤吉助教がコジャイケ市から車で10分ほどのシンプソン川のほとりにあるシライシ孵化場を訪問しました。この孵化場は、日本とチリの技術協力により1976年に設立され、これまで北半球にしかいなかったサケをチリに適応させる先駆者となりました。そのため今回の訪問の目的は、サケ養殖の道を拓いたチリ初のサケ孵化場の一つを知ることにありました。また、本プロジェクトの社会実装や持続体制、関係性の継続に向けたロールモデルを学ぶことでした。当日は、本孵化場を管理しているMarcelo Díaz氏が本施設の歴史や現在進行中のプロジェクトを説明してくれました。現在は良質な卵を生産する種を選別するためにギンザケ(Oncorhynchus kisutch)の淡水養殖が行われており、8名のスタッフによって運営されています。シンプソン川は昔から綺麗で豊かな水を湛えていることから川の水をそのまま利用したサケの繁殖と採卵が行われていることを説明していただきました。

この孵化場は、チリにいなかったサケの養殖を確立しようと奮闘した白石芳一博士の名前が由来となっています(参考)。白石博士は志半ばでこの地で亡くなりましたが、博士の功績を称え石碑が建てられています(参考)。施設内には餌の改良や病理検査を行うための実験室があり、そこにはJICAから寄贈された機材を中心に、日本とチリの深い関係を示すたくさんのものが残っていました。

ちなみに、Coyhaiqueはスペイン語読みをすると“コイアイケ”。コジャイケと読むのは、現地tehuelche族の言葉の名残です。koi=aqua, aike=camp

豊かで綺麗な水を湛えるシンプソン川の恩恵を受け、一つの生け簀にだいたい600匹のギンザケが養殖されている

シライシ孵化場の入口看板:白石博士の名前がある

大自然に囲まれたシライシ孵化場

白石博士の石碑の前で。左から、ゴンサロ教授、丸山准教授、案内をしてくれたMr. Marcelo Díaz