去る2019年9月4日、Araucania州Temuco市においてLa Frontera大学と共催で実施中の本プロジェクトの公開セミナーを開催し、プロジェクトの進捗状況とそれらの潜在的な利益を報告しました。セミナーには、Araucania州政府関係者、Temuco市政府関係者、地元の一般市民やUFROの大学生等が参加されました。
まず最初に、本プロジェクトのチリ側代表者であるDr. Milko Jorquera氏が、5年間のプロジェクトの実施2年目の現在の進捗状況について発表しました。Antofagasta, Puerto Saavedra, Bahía Mansa, Puerto Montt, Calbuco, Cucao, Quellón, Melinka, Puerto Monttと、チリ全域でサンプリングを開始し(link)、そのデータを用いて研究が開始されていることを説明しました。
次に伊藤准教授(associate professor of Kyoto University, Disaster Prevention Research Institute; link)が、メキシコの地震空白域の観測体制の構築、シミュレーションによる沿岸の町への津波の襲来予測と襲来前に高所へ避難するための最適な行動パターン、地域行政、学校、公共インフラの企業と協力した避難訓練プログラムの策定と普及活動、などをお話くださいました。
*伊藤准教授は、メキシコで実施中の地震研究プロジェクト(本MACHと同じくSATREPS国際科学技術協力プログラムのプロジェクト)の日本側リーダーです(link)。
続いて、中岡講師 (lecturer of Hokkaido University, Graduate School of Life Sciences; link) から、生物間の競争や増殖率を定式化することで生態系の挙動を理解できることなど、理論と実際をつなぐ研究の醍醐味と汎用性の広さを説明頂きました。
最後に、芳村教授(professor of the University of Tokyo, Institute of Industrial Science; link)が、大気のモデルと海洋のモデルを組み合わせたモデル(大気海洋結合モデル)で予測精度が大きく向上すること、など、理論やモデリング、シミュレーションの背景を、初学者にわかりやすくご紹介くださいました。そして、本プロジェクトではさらに生物データを組み入れた新たなモデルを構築していくという展望を説明くださいました。
セミナーにはUFROのイノベーション技術移転部長であるMr. Franklin Valdevenito氏、JICAチリ小林支所長代理等も参加しました。